Article — AI検索の判定ロジック

AIが引用するページは、どう選ばれるのか

3つの層に分けて整理する

最終更新:2026年9月22日執筆:株式会社KBTイノベーション


SEOは、狙ったキーワードで順位を上げる仕事でした。AI検索では、あなたが狙ったその言葉のまま検索されるとは限りません。AIが質問を分解し、あなたが書いていない言い回しに置き換えて、何度も検索しているからです。

この記事では、その中で何が起きているのかを整理します。根拠に使うのは、Google・OpenAI・Anthropicが自分のサイトで公開している文書だけです。そして、公開されていない部分は「公開されていません」と書きます。AIの内部には、各社が説明していない領域があります。そこを推測で埋めた説明は、読んだ瞬間は分かった気になります。ただし、お金の使い道を決める材料にはなりません。

AIO対策とSEOが何が同じで何が違うのかという前提の整理は、第1弾の「AIO対策はSEOと何が違うのか」で扱いました。ここでは繰り返しません。この記事が引き受けるのは、なぜそうなるのかのほうです。

AIは、あなたの代わりに何度も検索している

AIは、受け取った質問を1本の検索にせず、複数の検索に広げます。Googleはこの仕組みに名前をつけて公開しています。クエリファンアウト(query fan-out)です。

定義はGoogleの公式ドキュメント「生成AI機能に向けたウェブサイトの最適化」に載っています。「ユーザーのクエリに対応するために、より多くの情報を求め、追加の関連する検索結果を取得するために、モデルが生成する同時並行の関連クエリの集合」。例まで公式に書かれています。ユーザーが「雑草だらけの芝生を直すには」と検索した場合、展開されるクエリは「芝生に最適な除草剤」「化学薬品を使わずに雑草を取る」「芝生の雑草を防ぐ方法」といったものになる、という例です。

回数の規模感も、Google自身が述べています。2025年5月のGoogle I/Oの発表では「AIモードは内部でクエリファンアウト技術を使い、質問をサブトピックに分解して、あなたに代わって多数のクエリを同時に発行する」と説明されました。さらに深く調べるDeep Searchについては「同じクエリファンアウト技術をさらに推し進め、数百回の検索を発行する」と書かれています。2026年3月には、検索担当シニアエンジニアリングディレクターのDounia Berrada氏が同社ブログで「AIモードは、1回の検索にかかるのと同じ時間で、あなたの代わりに十数回の検索を実行している」と説明しました。

これはGoogleだけの話ではありません。OpenAIは開発者向けドキュメントで、モデルが思考の途中で自分でウェブ検索を実行すると説明しています。結果を分析し、検索を続けるかどうかもモデル自身が判断します。Anthropicも公式ドキュメントで、Claudeが自分で検索クエリの文字列を組み立てて実行し、「この処理は1回のリクエストの中で複数回繰り返されることがある」と明記しています。検索を広げるのは特定の1社の癖ではなく、AI検索に共通する作りです。

経営者にとっての意味は1つです。あなたが対策した1つのキーワードだけで評価されるとは限りません。実際に投げられているのは、あなたが想定していない言い回しを含む、複数の検索です。

広げた質問は、どこへ投げられるのか

広げた検索が投げられる先は、いつものGoogle検索です。AI専用の別の入り口はありません。

Googleは同じドキュメントで、生成AI機能がRAGに依存していると説明しています。検索拡張生成のことで、グラウンディングとも呼ばれます。定義はこう書かれています。「AIの回答の品質・正確性・鮮度を高めるために、当社のコア検索ランキングシステムに頼って、検索インデックスから関連する最新のウェブページを取得する技術」。取得したページの情報をシステムが読んで回答を組み立て、その根拠となるページへのリンクを表示する、と続きます。

ここから確定できることが2つあります。1つ目、取得元は検索インデックスです。インデックスにないページは候補にも入りません。2つ目、取得に使われるのはコア検索ランキングシステム、つまりこれまで検索順位を決めてきたものと同じ仕組みです。AIのために新しく作られた別系統ではありません。

条件も明記されています。「Google検索の生成AI機能に表示される資格を得るには、ページがインデックスに登録され、スニペット付きでGoogle検索に表示される資格を持ち、検索の技術要件を満たしている必要があります」。スニペット付きで表示される資格、という条件が入っている点に注意してください。スニペットを抑制する設定をしているページは、この条件から外れます。

もう1つ、多くの経営者が存在を知らない設定があります。Search Consoleの設定に「Search generative AI」という項目があり、そこから自社サイトを生成AI機能の対象から外すことができます。Googleのヘルプによれば、これは2026年8月31日時点で全プロパティの既定の管理項目で、既定は「含める」です。外したい人が自分で外す方式なので、何もしていなければ含まれたままです。外した場合でも通常のGoogle検索でのインデックス登録や掲載順位には影響しない、とも書かれています。確認は1分で終わります。過去に誰かが触っていないか、一度だけ見ておく価値があります。

「AIが情報を探しに行く」という言い方は正しいのですが、探しに行く先は新しい場所ではありません。いつもの検索インデックスです。だから、SEOの土台がそのまま効きます。そして、AI専用の裏口を売る提案には、その裏口が存在しません。

出るのはページ全体ではなく、該当する箇所

AIの回答に出るのは、ページ全体ではなく、質問に該当する箇所です。Googleは「当社のシステムは、1つのページに複数のトピックがある場合のニュアンスを理解し、関連する部分をユーザーに示すことができる」と書いています。

ここで、業界でよく売られている施策とGoogleの記述が正面からぶつかります。Googleは同じドキュメントに「やらなくていいこと」の章を設け、名指しで4つ挙げています。

  1. コンテンツのチャンク化。 「AIがよく理解できるように、コンテンツを細かく分割する必要はありません」。理想的なページの長さというものは無い、とも書かれています。
  2. AIシステム向けの書き直し。 「生成AI検索のためだけに、特定の書き方をする必要はありません」。AIは同義語や求めている意味そのものを理解できるため、想定される言い回しを全部拾わなくてよい、と説明されています。
  3. llms.txt などの特別なファイル。 「Google検索に表示されるために、機械可読なファイル、AI用テキストファイル、マークアップ、Markdownを新しく作る必要はありません。Google検索自体がそれらを使っていないからです」。置くこと自体は自由で、順位にもAIでの表示にも影響しない、と書かれています。
  4. 構造化データへの過度な期待。 「構造化データは生成AI検索に必須ではなく、追加すべき特別なschema.orgのマークアップもありません」。ただし通常のSEOでリッチリザルトの対象になるので、続ける価値はある、とも書かれています。

この4つは、AIO対策の提案書によく並ぶ項目です。Googleが自分で「不要」と書いたものに見積もりが立っているなら、公式ドキュメントのどこに必要と書いてあるのかを聞いてください。この確認は無料で、1ページを開くだけで済みます。

ひとつ補足します。見出しの直下に結論を置く、数字と出典を同じ段落に入れる、といった書き方そのものは有効です。ただしそれは「AI対策だから」ではなく、読み手にとって分かりやすいからです。Googleの記述も「人間の読者のために書き、よく書かれていて追いやすい状態にする。段落と見出しで整理されているとありがたがられる」という言い方をしています。目的が読み手であって、AIではない、という順番だけ間違えないでください。

どこまでが公開されていて、どこからが公開されていないのか

AIの内部には、各社が説明している部分と、説明していない部分があります。この線を引かずに書かれた解説は、断定しているところほど根拠がありません。3つに分けて整理します。

層1:公式に説明されていること

内容どこに書かれているか
質問が複数の関連クエリに展開される(クエリファンアウト)Google公式ドキュメントに用語の定義と具体例
取得元がGoogleの検索インデックスであること同ドキュメントのRAG(グラウンディング)の定義
取得にコア検索ランキングシステムが使われること同上
表示の条件(インデックス済み・スニペット表示の資格あり)同ドキュメントの技術要件の章
1ページ内の該当する部分が示されること同ドキュメントの「チャンク化」の項
生成AI機能から自社サイトを外す方法Search Consoleヘルプ「Search generative AI」
ChatGPTの検索に出るかどうかがOAI-SearchBotの可否で決まることOpenAI開発者ドキュメント「Overview of OpenAI Crawlers」

いずれも一次情報。URLと確認日は本記事末尾の「出典」に記載。

層2:観測や実験から言われていること

内容誰が、どう調べたものか
実際に展開されたクエリの中身の推定SEOツール各社が独自の方法で推定して公開しているもの。Googleが答え合わせを公開したことはありません
AIの引用元と検索順位の重なり率調査会社ごとに対象も方法も違い、数字も揃いません。第1弾で扱ったAhrefsの調査もこの層です
AI要約が出た時にクリック率が変わることPew Research Centerなど外部の調査。Googleが公開した自社データではありません

この層の数字は、参考値として扱ってください。見分け方は単純です。上の表のAhrefsやPew Research Centerのように、誰が、いつ、どういう方法で調べたかが書かれていない数字は、この層かそれ以下です。

層3:公開されていないこと

よく質問されること現状
1つの質問に対して、実際に何本のクエリが生成されるのか公開されていません。「多数」「十数回」「Deep Searchでは数百回」という規模感は述べられていますが、条件ごとの本数は示されていません
どういう基準でクエリが生成されるのか公開されていません。「モデルが生成する」以上の説明はありません
取得した候補から、どれを引用するかをどう決めているのか公開されていません。コア検索ランキングシステムを使うことは書かれていますが、その中身は従来の検索と同じく非公開です
ページを数値ベクトルに変換して照合しているのか(埋め込み)Google検索については公開されていません。公式ドキュメントに埋め込みやベクトルの記述はありません。Google Cloudが売っているVector Searchは企業向けの別製品で、Google検索の内部の説明ではありません
自社のどのページの、どの部分が使われたのか公開されていません。Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで見えるのは表示回数などで、引用された箇所そのものは出ません
AIモードの回答の中での、表示の順番公開されていません。

この一覧は、更新される前提で読んでください。2026年7月にGoogleが公式ガイドを更新し、それまで推測で語られていたことのいくつかが公式の記述に変わりました。今「公開されていません」と書いた項目も、将来は公開されるかもしれません。逆に、今日の時点でここを断定している説明は、根拠を持っていません。

仕組みから逆算すると、やることは3つに絞られる

1|1ページの中で、答えの幅を広げる。ページを量産しない

質問が複数に展開されると知ると、展開されそうなクエリを調べて、その数だけ記事を作りたくなります。Googleはこれを名指しで否定しています。

公式ドキュメントにこうあります。「人々が検索しうるあらゆるバリエーション(たとえば、他の人が尋ねた質問やファンアウトクエリに焦点を当てて)ごとに別々のコンテンツを作りたくなるかもしれませんが、ランキングや生成AIの回答を操作することを主目的にそうすることは、Googleの大量生成コンテンツの不正使用に関するスパムポリシーに違反します」。さらに「これは長期的にも効果のない戦略です。ページ数が多いことは、ウェブサイトの品質を高めたり、ユーザーにとっての関連性を高めたりしません」と続きます。

やるべきことは逆です。1ページの中で、その質問の周りまで答えを置く。費用のページなら、費用と一緒に聞かれることを同じページに置きます。何が含まれるのか。追加費用が出る条件は何か。期間はどれくらいか。ページを増やすのではなく、1ページが答えられる幅を広げます。

2|取ってこられる状態を、自分の手で確かめる

どれだけ中身を磨いても、取得の候補に入らなければ何も起きません。確認する場所は4つです。

  1. インデックスに入っているか。 Search Consoleの「ページ」レポートで「登録済み」に入っていないページは、AIの引用候補にもなりません。
  2. スニペット表示を自分で止めていないか。 nosnippet、data-nosnippet、max-snippet、noindex の指定を確認します。「スニペット付きで表示される資格」が生成AI機能の条件なので、ここを絞ると候補から外れます。過去に「全文を検索結果に出したくない」という理由で入れた設定が残っていることがあります。
  3. Search Consoleの「Search generative AI」の設定。 既定は含まれる側です。誰かが除外を選んでいないかだけ見てください。
  4. robots.txt。 Googlebotに加えて、ChatGPTの検索に出したいならOAI-SearchBotを拒否していないか。OpenAIは「OAI-SearchBotをオプトアウトしているサイトは、ChatGPTの検索の回答には表示されない」と明記しています。

逆に、AIの回答に自社を出したくないという判断もあり得ます。その場合の正式な手段が、この3番目の設定です。Search Consoleから除外でき、通常の検索の順位には影響しない、とGoogleは説明しています。

3|AI専用の小細工に、予算を出さない

前の章で挙げた4つは、Googleが自分の公式ドキュメントで不要と書いたものです。チャンク化、AI向けの書き直し、llms.txt、AI専用の構造化データ。提案書にこれが並んでいたら、必要だと書かれている公式の記述を示してもらってください。示せない場合は、その費用を2番の作業と中身を厚くする作業に回したほうが確実です。

この3つの先に、段落の書き方、サイト外での言及の増やし方、効果の測り方が続きます。いずれも第1弾で整理した差分4点に対応する話です。

KBTの立場。公式の文書に書いてあることだけを根拠にします

公式の文書に書いてあることは、出典をつけてお伝えします。書いていないことは、分かりませんとお伝えします。この記事で「公開されていません」と書いた6項目は、ご依頼をいただいた後も分からないままです。分かったふりの説明を信じて予算を組むと、半年後に、何にお金を使ったのかが手元に残りません。

そのうえで、KBTがサイトを見るときに最初に確かめるのは、AI専用の設定ではありません。取ってこられる状態になっているかどうかです。インデックス、スニペットの許可、Search Consoleの生成AI設定、robots.txt。ここが閉じていれば、記事を足しても候補に入りません。

1ページ単位の点検は、無料の簡易SEO診断で今日確認できます。サイト全体の設計が必要な場合は、SEO分析のページに進め方と費用を載せています。


FAQ — よくあるご質問

AI検索の仕組みについて、よくいただく質問

Q.01クエリファンアウトとは何ですか+

AIがユーザーの質問に答えるために、自分で複数の関連する検索を同時に生成して実行する仕組みです。Googleは公式ドキュメントで「ユーザーのクエリに対応するために、より多くの情報を求め、追加の関連する検索結果を取得するために、モデルが生成する同時並行の関連クエリの集合」と定義しています。例として、ユーザーが「雑草だらけの芝生を直すには」と検索した場合、「芝生に最適な除草剤」「化学薬品を使わない雑草の除去」などに展開されると書かれています。

Q.02AIは自社サイトを直接読みに来ているのですか+

Googleについては、取得元はGoogleの検索インデックスです。公式ドキュメントは、生成AI機能が「コア検索ランキングシステムを使って検索インデックスから関連する最新のウェブページを取得する」と説明しています。AI専用の別ルートはありません。ChatGPTは別で、OpenAIはOAI-SearchBotというクローラーを公開し、これを拒否しているサイトは「ChatGPTの検索の回答には表示されない」と明記しています。

Q.03展開されるクエリを調べて、その数だけ記事を作るべきですか+

Googleはそれを名指しで否定しています。公式ドキュメントに「人々が検索しうるあらゆるバリエーション(たとえばファンアウトクエリ)ごとに別のコンテンツを作ることは、ランキングや生成AIの回答を操作することを主目的とする場合、大量生成コンテンツの不正使用に関するスパムポリシーに違反する」「長期的にも効果のない戦略であり、ページ数が多いことはサイトの品質や関連性を高めない」と書かれています。ページを増やすのではなく、1ページの中で答えの幅を広げてください。

Q.04AIはページを数値ベクトルに変換して照合しているのですか+

Google検索については公開されていません。Googleが公式に説明しているのは、質問が複数の検索クエリに展開されること、取得元が検索インデックスであること、取得にコア検索ランキングシステムが使われることまでです。埋め込みやベクトル照合の有無は書かれていません。Google Cloudが提供するVector Searchは企業向けの別製品で、Google検索の内部の説明ではありません。

Q.05自社サイトをAIの回答に出したくない場合はどうしますか+

Search Consoleの設定に「Search generative AI」という項目があり、そこから自社サイトを生成AI機能の対象外にできます。Googleのヘルプによれば2026年8月31日時点で全プロパティの既定の管理項目で、既定は「含める」、除外は自分で選ぶ方式です。除外しても通常のGoogle検索でのインデックス登録や掲載順位には影響しない、と書かれています。ページ単位で抑えたい場合はnosnippet、data-nosnippet、max-snippet、noindexが使えます。


出典

取得日:いずれも 2026年9月22日/すべて発行元の公式ドキュメントまたは公式ブログ

出典の取得日:2026年9月22日/最終更新:2026年9月22日/執筆:株式会社KBTイノベーション